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「罪の余白」

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内容紹介
高校のベランダから転落した加奈の死を、父親の安藤は受け止められずにいた。娘はなぜ死んだのか。自分を責める日々を送る安藤の前に現れた、加奈のクラスメートの協力で、娘の悩みを知った安藤は。

内容(「BOOK」データベースより)
どうしよう、お父さん、わたし、死んでしまう―。安藤の娘、加奈が学校で転落死した。「全然悩んでいるようには見えなかった」。クラスメートからの手紙を受け取った安藤の心に、娘が死を選んだ本当の理由を知りたい、という思いが強く芽生える。安藤の家を弔問に訪れた少女、娘の日記を探す安藤。二人が出遭った時、悪魔の心が蠢き出す…。女子高生達の罪深い遊戯、娘を思う父の暴走する心を、サスペンスフルに描く!

この作家の作品はなんとも言えず怖い。
ここまで人間には心の闇があるのかと思うほどの心理描写が秀逸だ。

図書館に行くたびに必ず借りたいと思う作家のひとり。


今回もすごかった。
少々、胸が悪くなる。
現代の社会問題ともいえるいじめ。
最近少しずつ世に広まってきた大人の発達障害。
とらえる視点もキャッチ―だ。

私が一番印象に残った部分は実はストーリーとは全く関係ないことだった。
登場人物のひとりである「小沢早苗」の言葉。
この言葉は小沢早苗とその彼氏との一場面で、全くストーリーの付箋でもなく、実際に何も関係ない。
しかしながら、私が常日頃思っていることだった。

ヨガのインストラクターをしていると必ずと言っていいほど出てくるスピリチュアルな神という存在。
あぁ、私と同じ考えの人がいるんだなと思った。
おそらくヨガインストラクターの中には、めったにいないのではないだろうか。。。

その一文を抜粋。

彼は穏やかに話し始めた。
早苗が今辛い思いをしているのは、早苗のせいなんかじゃないんだよ。神様が与えてくださった試練なんだ。
(略)
そこに一度身を委ねてしまえば、苦しみも悲しみも迷いも怒りも寂しさも焦りも全部消えてなくなる。
彼の言葉に、早苗は首を傾げた。
神様とは何ですか。
彼は柔らかく微笑んで答えた。
天におられる大いなる存在だよ。
早苗には彼の言っていることがわからなかった。
混乱と同時に頭に浮かんだのは、その神様とは人間が楽に生きるために創り出した装置なのではないか、という考えだった。
装置ーあるいは、とめどない思考を停止させるための手段に過ぎないのではないか。
(略)
機能の通りに考えるのをやめ、ただ信じ込むこと。それ自体が才能なのだと、早苗は気づいた。同時に、自分にはその力さえないことも。


この後、全く理解しあえない二人の関係は完全に破滅へと向かう。


私は、自分自身を何かに委ねるというか自分の力ではどうにもならず、任せてしまうというのは実はよくわかっているように思う。
だけど、ヨガで良く出てくる「神の存在」や「スピリチュアル」というのがよくわからない。
わからないというより、なんだかなぁ~と白けた気持ちになる。

こんなヨガインストラクターもいてもいいのかなと、この小説で少し救われる。

小説には、こんなふうに、本編と全く関係ないことにも反応することもあるのだなと知る。


この小説は映画化もされたようで、映画でこの部分が削除されていないことを願う。



芦沢央さん。

目が離せない作家です。

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